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いまやコンビニよりも多い美容室。競合店がひしめく美容室の経営にはマーケティング戦略が必須です。マーケティングをすることによって、他店との差別化を図り生き抜く方法を見つけることができます。
ただ、重要性を理解しつつも「具体的にどのようにすればいいかわからない」という方は少なくありません。そこで本記事では美容室のマーケティング戦略を15種類紹介し、基礎知識や役立つフレームワークについて解説します。
美容室の経営にはマーケティング戦略が欠かせません。まずはその理由を4つ説明します。
美容室の経営は、技術だけでは成り立ちません。お客様が美容室に求めているのは技術だけではないからです。
株式会社ノーマリズムの調査によると「美容室・ヘアサロンを選ぶ主な決め手」の1位は「家や職場から近い」であり、「ヘアスタイルが素敵」「メニューが豊富」などの技術面はそこまで重視されていないとわかります。
画像出典:株式会社ノーマリズム|ヘアログ
こちらは2020年5月26日~ 2020年5月28日に、全国の20代~50代男女を100人対象とした調査結果です。
どれだけ技術が高くても、お客様に自店の美容室を知ってもらえなければ集客につながりません。したがって、美容室の経営を成功させたいならマーケティングに力を入れる必要があります。
マーケティングを強化すれば競合の美容室と差別化でき、利益向上につながる可能性があります。有名美容室を除いて、個人経営や小規模のサロンでは十分なマーケティング対策をしていないケースが多いからです。
特に、インターネットによるマーケティングは積み重ねが重要です。例えばSNSでマーケティングする場合、定期的に新しい写真や動画をアップロードしないとすぐに埋もれてしまいます。
しかし、コツコツと積み重ねればファン(フォロワー)が増えます。そうすると、マーケティング対策をしていない競合に大きな差を付けることができるでしょう。
マーケティングを怠ると、失客につながる恐れがあります。日本は人口が減少している一方で、美容室は常に増え続けているからです。
厚生労働省の「令和2年度衛生行政報告例の概況」によると、美容室の数はほぼ毎年、過去最高を記録し続けています。
今は売上が安定していても、近隣に新店舗がオープンするとお客様を奪われてしまいかねません。しっかりとマーケティングを強化しお客様を自店舗につなぎとめることが、これからの美容業界では非常に重要になります。
美容室は「90%が10年以内に離職する」といわれるほど、人材の確保が難しい世界です。人材が流出してしまうと、著しい売上の低下につながりかねません。
マーケティングで差別化を図ることができれば、集客力のある店舗としてスタイリストにとっても魅力的な店舗となり、優秀な人材の採用につながります。優秀な人材を確保できれば、より盤石な体制で経営ができるでしょう。また、美容室はお客様に対する差別化だけでなく、スタッフの働き方に対する差別化も必要になります。
マーケティングとは市場調査や商品開発、販売戦略、売上促進など「モノやサービスを売るために必要な行動すべて」を指します。
マーケティングを考える場合、まず基本を抑えておく必要があります。基本を理解できていなければ分析や検証ができず、たとえ効果が出ても一時的なものになってしまうでしょう。
美容室のマーケティング戦略に必要な基本は以下の5つです。
まずは開業場所の市場調査が重要です。立地によってお客様の年齢層や雰囲気、求めるニーズなどが異なるからです。
極端な例を挙げると、半径500m圏内に人が住んでいなければ、徒歩で来店するお客様はほぼゼロという仮説が立てられます。住んでいたとしても高齢者ばかりだった場合、美容室の見込み顧客にはつながらない可能性が高いでしょう。
このような形で、まずは開業予定のエリアを徹底的にリサーチしましょう。見極めるべきポイントは以下のとおりです。
当社の場合、次のような資料をつくって徹底的に市場調査しています。
何もない状態で開業する場合、このような資料をゼロから作り上げるのは困難でしょう。当社は美容室を開業するお客様に対して無料相談会を用意しています。無料相談会はこちらからお気軽にご予約くださいませ。
エリアを調査するとともに、ターゲットとペルソナを決めましょう。
ペルソナとは、サービスのターゲットとなる架空の人物像を、具体的に言語化することです。年齢、性別、居住地、職業、年収、趣味、特技、価値観、家族構成、ライフスタイル…などリアリティのある詳細な情報を設定していきます。
想定するターゲットやペルソナによって、マーケティング方法が大きく変わります。
ターゲット | ペルソナ | |
---|---|---|
表現方法 |
若年層 高所得者層など |
26歳から35歳までの男性、会社員、年収500万円以上など |
具体性 | 低い | 高い |
活用する場面 |
DM送信時の絞り込み設定など |
開業時のコンセプト作成 メニューやサービス内容の決定など |
まずはターゲットを決め、次にペルソナを作成しましょう。ここで作成したペルソナをもとに、チラシの配布や店舗のコンセプト、メニュー・サービス内容を考えます。
想定するターゲットやペルソナによって、マーケティング戦略が大きく変わるので、できるだけ具体的に作成しましょう。
半径5km圏内にある競合の美容室を調査しましょう。競合を調査することで差別化でき、マーケティングしやすくなります。
主な調査項目は以下のとおりです。
例えば競合となるA社、B社のカット代が8,000円だったとしましょう。同じ商圏に属する顧客が「料金の安さ」を求めている場合、A社、B社よりカット代を安くすると集客で有利になります。
このようにリサーチすることで「どのようなマーケティング戦略を取るべきか」がわかります。
地域の検索キーワードを分析することも大切です。どのようなキーワードで検索されているかがわかれば、マーケティングに役立てることができるからです。
例えば「大阪 美容室」で検索すると、次のようなキーワードが「同時に検索されている」としてGoogleに表示されます。
以上の点を分析すると「大阪のお客様はカットやインナーカラー、トリートメントに強い美容室を探している傾向が強い」とわかります。
キーワード分析する方法はGoogle広告のキーワードプランナーがおすすめです。キーワードプランナーの使い方がわからない場合、Googleで検索した際、検索候補として現れるキーワードに注目してください。
美容室自体の強みとなるオリジナリティも重要です。「ここでしか受けられないサービス」「ここでしか得られない体験」といったオリジナリティがあれば、リピート率の向上につながります。
ただし、やみくもに独自性を出しても、ターゲットやペルソナにとってニーズがなければ意味はありません。例えば「料金は高くなっても良いから、質の高いサービスを希望する」と考えるお客様に対して、料金の安さをオリジナリティにしても効果は薄いでしょう。
オリジナリティの確立はターゲットやペルソナを設定したうえで成り立つものです。まずはしっかりとターゲット選定しましょう。
ここからは美容室のマーケティング戦略を具体的に解説します。まず、マーケティング戦略を以下の3つにわけます。
オフラインのマーケティング戦略とは、インターネットを使わず近隣住民や通行人に向けて店舗をアピールする方法です。
主に5つご紹介します。
外観と看板はひと目で「ここに美容室がある」とわかってもらえます。店舗を認知してもらえれば、近隣住民を来店に導ける可能性があるでしょう。
看板にはメニューや料金など、ターゲットが必要とする情報を記載しておくことがおすすめです。
チラシやポスティングはリピート客を増やすうえで重要です。リピート客にむすびつきやすい近隣住民にアプローチできるからです。
ただし、やみくもにチラシの配布やポスティングをおこなっても、見込み顧客となるターゲットがいなければ効果は期待できません。しっかりとターゲットとエリアを絞り込み、戦略を立て配布しましょう。
どのエリアから来られているのかをマップに落とし込み、確認することも大事です。
チラシ自体にも工夫が必要です。主に次のような手法があります。
劇的に集客効果が高まるチラシ戦略はこちらで解説しています。
関連記事:
美容室はチラシだけでも集客できる!効果的なチラシ戦略のル ールとは
紹介制度を設けるのもおすすめです。紹介制度とは、既存顧客であるお客様がご家族やご友人などに美容室を紹介くださり、新規来店につながることです。来店した場合、「紹介した側」「紹介された側」両方に特典を与え、集客するマーケティング戦略です。
紹介制度は「来店を促しやすい」というメリットがあります。顔の見えないインターネット上の口コミ・評判ではなく、気心の知れた家族や友人から生の感想を伝えてもらえるからです。
ただし、「紹介したくなるような店舗」でなければ意味がありません。お客様に「紹介したい」と思ってもらえる美容室の特徴はこちらで解説しているので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:
集客できない美容室の共通点 「流行る」美容室との違いとは
DMはリピーターや休眠顧客に対するアプローチとして有効なマーケティング方法です。来店を促したいお客様に対して、メッセージと特典の情報を伝えましょう。
DMは書き方一つで効果が大きく異なります。お客様のDM開封率を上げる効果的な施策はこちらをご覧ください。
関連記事:
美容室のダイレクトメール(DM)を成功させる書き方とは?効果を出すポイントも解説
地域やフリーペーパーに広告を出すという方法があります。開業時や大型イベント開催時など、近隣住民に短期間で認知してもらいたいときにおすすめです。
ただし、地域広告やフリーペーパーはチラシ・ポスティングに比べてターゲット選定しづらい点に注意してください。
オンラインのマーケティング戦略
オンラインのマーケティング戦略とは、インターネット上で不特定多数に向けて自分の美容室をアピールするという方法です。
オンラインのマーケティング戦略は主に6つあります。
近年、大手美容室予約サイト(ポータルサイト)に登録する美容室が増えております。大手美容室予約サイトに登録すると、日本中のお客様に認知してもらえる可能性が増えるためです。
主な大手美容室予約サイトは以下のとおりです。
美容室の情報とともにメニューや料金、スタッフの紹介などさまざまな情報をユーザーに届けられるでしょう。
ただし、新規顧客の獲得には高い効果が期待できる一方で、リピーターをつくりにくいという欠点があります。また、毎月掲載料を支払わなければならないため、固定費がかかってしまいます。
予約サイト内でもマーケティングが重要です。予約サイトには数千、数万といった美容室が登録されているため、マーケティングに力を入れないと埋もれてしまいます。
例えば、口コミ・評価が少なければ、お客様に十分な情報を与える来店効果は期待できません。また、口コミ・評価が多かったとしても内容が良くないと、「評判が良い順」「おすすめ順」などで並び替えられたときに上位表示されず、目立たなくなってしまいます。
口コミ・評価を増やす施策や内容の充実などを意識しましょう。
ブログやホームページは予約サイトと同じように、店舗の情報をお客様に伝えられるというメリットがあります。
予約サイトと比べた場合、立ち上げてもすぐに大勢の集客を期待することはできません。一方で、美容室の信頼性が高まり、リピート率につながるという効果があります。ホームページの必要性はこちらの記事でも詳しく解説しています。
関連記事:
美容室のホームページは集客に必要ないのか
地域情報サイトとは、地域の情報を網羅的に掲載しているサイトです。地域情報サイトに掲載してもらうことで、近隣住民の認知が高くなります。
主な地域情報サイトは以下のとおりです。
ただ、地域情報サイトも地域広告やフリーペーパーと同じく、ターゲット選定しにくいというデメリットがある点に注意してください。
SNSは潜在的なユーザーへアプローチしたり、リンクを設置してホームページへ誘導したりできます。美容室のマーケティングに親和性が高いSNSは以下のとおりです。
特にInstagramは写真や動画が中心となるため、美容室の雰囲気を伝えやすい、技術を見せやすいというメリットがあります。
オンラインでのマーケティングはMEO(ローカルSEO)も重要です。MEOとは、Google Mapで上位表示されるように講じる施策のことです。お客様の中には「大阪市 美容室 おすすめ」といったように、Google Mapで美容室を検索する人も少なくありません。
MEO施策の一つが「Googleビジネスプロフィール」です。Googleビジネスプロフィールを作成すると、自分の美容室が上位表示されやすくなるといわれています。無料で設定できるため、あらかじめ作成しておきましょう。
WEB広告は予約サイトと同じように、不特定多数の方に自分の美容室を認知してもらえるでしょう。予約サイトと違って、ターゲットのエリアや年齢層など細かく設定できるというメリットがあります。
ただし、チラシやポスティングの配布ほどターゲット選定の精度は高くありません。
美容室の経営を成功させるには、リピート率の向上が重要です。ここではリピーターを増やすためのマーケティング戦略を4つご紹介します。
まずはスタンプカードの作成がおすすめです。スタンプカードを作っておけば、特典のために美容室を利用するお客様が増えます。例えば当社の場合、「4回までのご来店で毎回特典が付く」というポイントカードを採用しています。
ただし、スタンプカードを導入するだけでリピート率が劇的に改善するわけではありません。約6割という高いリピート率を維持する当社の手法はこちらを参考にしてください。
関連記事:
美容室の経営を軌道にのせるためのノウハウと目標値
メルマガを送ることで、お客様との関係性を強化できます。ユーザーの目に触れる回数が多くなるからです。
アメリカの心理学者ロバート・ザイアンスによると「人間は何度も目や耳にすることで警戒心が薄れていき、関心や好意を持ちやすくなる」とされています。実際にこのような効果は「ザイアンス効果」と呼ばれ、さまざまなマーケティングに用いられています。
ただ、お客様の中にはメールをほとんど開かない方も少なくありません。若いお客様をターゲットにする場合、LINE公式アカウントがおすすめです。
LINE公式アカウントとは、個人用のLINEアカウントとは異なるビジネス用アカウントのことです。LINE公式アカウントを開設しておけば、お客様と手軽に接点を持つことができます。
具体的には、次のような使い方が可能です。
LINE公式アカウントは基本的に無料で開設できるため、導入しておいて損はないでしょう。
自社アプリの導入は、うまく活用できれば大手美容室予約サイトを利用するよりコストを削減したうえで、リピート率の向上を目指すことができます。
ただし、自社アプリの開発はコストがかさみます。オリジナルアプリの制作を希望し、アプリ制作会社に依頼する場合、最低でも250万円以上かかることを想定してください。
美容室のマーケティング戦略を考える際に役立つのがフレームワークです。ここでは代表的なフレームワークを5つ紹介します。
3C分析・4P分析は、ともにマーケティング戦略の基本ともいえるフレームワークです。
3C分析 | 4P分析 | |
---|---|---|
言葉の意味 |
|
|
目的 |
|
などを分析し、これからの方向性を見出す |
開業する際に必要なマーケティング手法が3C分析です。開業後には4P分析に力を入れましょう。
SWOT分析
SWOT分析は自分の美容室における戦略やマーケティング手法を見極める際に必要なフレームワークです。
まず、自分の美容室を以下の4つに分類して書き出しましょう。
次に、以下の画像を参考に、分類した項目を4つの箱の中に当てはめてください。
※画像出典:経済産業省|マンガでわかる「SWOT分析」
このなかで「強み×機会」に当てはまる部分を重視することがSWOT分析の基本です。
STP分析とは、ターゲット選定の際に用いられるマーケティング手法のことです。
フレームワーク | 方法 | 具体例 |
---|---|---|
セグメンテーション | 市場全体から顧客になりうるターゲットを洗い出す | 性別や年代、職業、地理など |
ターゲティング | セグメントから狙うべきターゲットを選択する | 子育て世代、専業主婦、世帯年収600万円以上など |
ポジショニング | ターゲットを獲得するために、市場でどのようなポジションを取るか差別化する | 女性(男性)優先・限定にする、値段を安くする、特別なメニューを用意する、営業時間を伸ばすなど |
当社を例に挙げましょう。
このような形でターゲットを明確化すると、他のマーケティングも実行しやすくなります。
AIDMAやDECAXとは消費行動モデルのことです。時代とともに、消費行動モデルは次のように変化した、といわれています。
1.AIDMA(アイドマ) |
|
---|---|
2.AISAS(アイサス) |
|
3.DECAX(デキャックス) |
|
現在はコンテンツマーケティングが主流な「DECAX(デキャックス)の時代である」と述べられることも少なくありません。
ただし、かならずしもすべてのお客様が上記のモデルに則って行動するわけではない、という点に注意してください。
ULSSASとは、株式会社ホットリンクが提唱する消費行動モデルのことです。
SNSの投稿が当たり前の今、このような消費行動モデルを持ったお客様が増えつつあります。上記の消費行動モデルを意識して、SNSを用いたマーケティングも検討しましょう。
美容室のマーケティングは実にさまざまな手法がありますが、重要なのは「自店舗に合った手法を選ぶ」という点です。自店舗のターゲットに合っていないと、どれだけマーケティングを実践しても高い効果は期待できません。
ただ、なかには「重要だとわかっているけれど、なかなか手が回らない」という方もいるでしょう。マーケティングに時間や手間をかけられない場合、業務提携やフランチャイズを選択肢に入れたり、サロンづくりの仕組みやノウハウなどの知識と経験豊富なパートナーに相談してみたりすることが大切です。
「マイスタ®サロン」はサロン経営のお悩みを解決するパートナーシップ制度です。
集客や人材の問題で悩む”関西の美容サロン様”に女性美容師が働きやすいサロンづくりの仕組みやノウハウを共有し、サロン経営のサポートをいたします。
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