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美容師の業務委託はなくなる?業務委託から独立開業する方法は?

業務委託で働く美容師の未来に、大きな変化が起きました。令和5(2023)年10月1日から始まったインボイス制度の導入です。この制度は、美容師の収入や働き方にどんな影響を与えるのでしょうか?そして、私たちはどう対応すればいいのでしょうか?

この記事では、これらの疑問に答え、業務委託美容師が直面する変化を解説し、独立を目指す方々にも役立つ情報を提供します。変わりゆく業界の中で、今までのキャリアをどう守り、育てていくか、そのヒントを探ります。

 

<目次>

業務委託美容師とは

オープン1ヶ月で新規客300名の美容室が行なうチラシ集客とは

業務委託契約の働き方って?

業務委託契約では、美容師とサロンオーナーが平等な関係で協力し、美容師は自営業者として収入を得る方式です。最近、美容室業界では、従業員としての雇用から業務委託契約への転換が増えており、スタッフ全員が業務委託で働く店も見られるようになっています。この方式は、スタイリストが顧客を一貫して担当することができ、経験を積んだ美容師がキャリアを積む選択肢としても採用されています。

面貸しサロンとの違い

面貸しは、サロンが使用していない時間帯や空席を他の美容師に貸し出し、そこで施術を行うことができる仕組みです。この場合、サロンのオーナーと美容師の関係は従来の雇用関係ではなく、むしろ「貸主と借主」という立場になり、双方が個人事業主として活動します。美容師はサロンから給与を受け取るのではなく、直接顧客からの支払いを自身の収入として得ることになります。そして、その収入の一部をサロンオーナーに対して、使用したスペースのレンタル料として支払います。

業務委託は月にどれくらい儲かるのか?

業務委託サロンでは、一般的なサロンと比べて報酬の還元率が高く設定されており、売上の大部分が直接美容師の収入となります。これにより、美容師にとって収入を得やすい環境が整っていることは確かです。しかし、そのためといって全ての美容師が高収入を得られるわけではなく、個々の技術、顧客基盤、努力次第で収入に大きな差が出ることもあります。

一般サロンの場合は固定給+歩合制のシステムを導入していることがほとんどです。働く側としては固定給があるため安定的に働くことができますが、歩合給の割合が業務委託サロンと比較すると低いケースが多いです。

一方、業務委託サロンで働く場合は固定給がないため、多くのお客様に指名をいただいている美容師が稼げますが収入面では不安定というリスクが伴います(病気や怪我などではたなけない場合に収入が激減するなど)。

業務委託サロンの還元率

フリーで40%、指名は50%〜60%などと幅を持たせているところが多いです。また、週2日の方は40%、週5日の方は50%など、出勤日数によって細かく振り分けられている場合もあります。

    • 例) カット+カラーの客単価7,500円・還元率40%のサロンの場合
    •     1人あたりの報酬:7,500円×40%=3,000円

この金額が基本で、あとはお客様をどれだけ効率よく入客できるかによって売上かわります。

      • 1日8時間勤務で6名入客の場合に1日に稼ぐ報酬:3,000円×6名=18,000円
      • 24日出勤の場合に1ヶ月に稼ぐ報酬:18,000円×24日=432,000円(144名)

報酬を上げるためには、指名のお客様を増やすことが一番です。
また、トリートメントなどの追加メニューで単価アップすることも重要になります。

 

業務委託契約のメリットとデメリット

業務委託美容師のメリットを紹介します。業務委託の美容師は、自分の時間や収入を自由にコントロールできるというメリットがありますが、例えば、以下のようなことが可能です。

業務委託契約のメリット

業務委託契約のメリットは以下の4つです。

  • 1人のお客様にじっくりと向き合える
  • 努力次第で上限なく稼げる
  • 勤務時間や休日が自由に決められる
  • お客様への入客チャンスが多い

多くの美容師にとって、顧客の満足を最優先に考えることが大切な目標です。業務委託の美容師の場合、一人ひとりの顧客に対して十分な時間をかけて対応することができます。初めのカウンセリングからシャンプー、施術までを一貫して自分自身で行うことが可能なため、顧客の満足度や信頼を得やすくなるというメリットがあります。

さらに、業務委託の美容師は勤務時間や出勤日を自由に設定できるため、自分の生活スタイルやニーズに合わせて柔軟に働くことができます。平日のみの勤務や週に数日だけの勤務、さらには他の仕事との兼業も可能です。このような柔軟性は、特にプライベートの時間を大切にしたい人や、様々な活動を両立させたい人にとって理想的な働き方と言えるでしょう。

業務委託契約のデメリット

一方で、業務委託契約には次のデメリットもあります。

  • 確定申告や税金などの手続きが必要
  • 保険や福利厚生などは自分で加入・負担しなければならない
  • 社員と比べて収入不安のリスクがある

お客様への施術に集中できるなどのメリットがありますが、一方、国民年金や国民健康保険、開業届や確定申告などの手続きや費用を自分で負担や個人事業主としての責任があるというデメリットな部分もあるので覚えておきましょう。

業務委託美容師は、雇用契約と違って、国民年金や国民健康保険、開業届や確定申告などの手続きを自分で行わなければなりません。社会保険や税金などの手続きもします。また、これらの費用も自分で支払わなければならないため、収入に応じて計画的に貯金することが大切です。また体調不良や働けない状況になった時に収入が激減してしまいますし、業務委託型サロンが多くなったこと(飽和状態)で集客できない店舗もあり、業務委託サロンも2極化してきています。

業務委託美容師の現実

業務委託美容師は、自分の時間を自由に管理し、顧客基盤を自ら築くことができるという大きな自由度があります。しかし、その一方で、定期的な収入や社会保障の面での不安を感じることも少なくありません。市場競争が厳しくなる中で、顧客を獲得し維持するためには、マーケティングや自身のブランド構築の重要性が増しています。

さらに、インボイス制度の導入など、税制面での変更は業務の透明性を向上させるものの、同時に財務管理の複雑さを増加させることにもなります。このような状況の中で、業務委託美容師が自身のキャリアを安定させ、収入を確保するためには、スキルの向上や効果的なビジネス戦略の立案が不可欠です。これには、最新の美容技術の習得、顧客サービスの質の向上、デジタルマーケティングを活用した顧客獲得戦略など、多岐にわたる取り組みが含まれます。

業務委託美容師の将来性

インボイス制度とは?

インボイス制度は、消費税に関する新しいルールです。この制度では、商品やサービスを売るときの請求書に、消費税の額をはっきり書く必要があります。これにより、税金の取り扱いがより透明になりますが、事業者はこの新しいシステムに合わせて、自分の記録や報告の方法を見直さなければなりません。大きな変更点は仕入れ先からインボイス(適格請求書)を発行してもらうことを義務付けることです。

インボイス制度の導入が業務委託美容師に与える影響

雇用されている美容師には大きな変化ないですが、業務委託で働く美容師にとってこのインボイス制度は大きな変更点です。税金の管理が複雑になり、正しい請求書の作成と保管が必要になります。業務委託型サロン側から見ると、業務委託契約の美容師は仕入れ先にあたることから、このような新しい要求は、業務委託美容師の働き方や収入に影響を与え、将来的には業界全体の動きにも変化をもたらすかもしれません。

インボイス制度での課税事業者と免税事業者の違い

インボイス制度を課税事業者である売上高1,000万円超えるケースと、免税事業者である売上高1,000万円以下のケースに分けて見ていきましょう。

【売上が1,000万円(約83万円以上/月)を超える業務委託美容師の場合】
課税事業者なので、毎年消費税を納税しているので大きな変化ありません。
しかし、以下の2点について検討が必要となります。

  • 仕入れ先や業務委託先が免税事業者(売上1,000万円以下)の場合、仕入税額控除を受けることができずより多くの納税が必要になる。
  • 経理処理が煩雑になる可能性がある

【売上が1,000万円(約82万円以下/月)以下の業務委託美容師の場合】
課税売上1,000万円以下の場合、自分がインボイスを発行できないことが問題となります。
そのことで生まれるリスクとして以下の2点が挙げられます。

  • 業務委託先からすると仕入税額控除ができないことで実質的な増税になるために、業務委託契約を切られる可能性がある。
  • 仕入税額控除ができない分を、業務委託美容師へ支払う報酬より値引き要求される可能性がある。

 

独立するために必要なこと

経営知識と資金調達

独立開業には、美容業界における経営知識が不可欠です。市場分析、競合調査、価格設定、サービスの差別化など、事業計画を策定する上で必要な知識を身につけましょう。また、開業資金の調達は独立の大きなハードルの一つです。自己資金だけでなく、公的融資や民間の融資機関の利用も検討しましょう。特に、日本政策金融公庫は、小規模事業者向けの融資制度を多く用意しており、低利での借入が可能です。
関連記事: 美容室のマーケティング戦略15選!基礎知識や役立つフレームワークも紹介

テナント探し

理想的なサロンの立地は、事業成功の鍵を握ります。人通りが多く、ターゲットとする顧客層が頻繁に訪れるエリアを選ぶことが重要です。また、賃料、広さ、設備の状態など、予算内で最適な物件を見つけることも大切です。テナント探しには時間がかかることもあるため、早めにリサーチを始めましょう。

集客と採用

採用と集客は、美容師の独立において重要な二つの柱です。採用では、ソーシャルメディアの活用やインターンシッププログラムを通じて、優秀な人材を見つけ、サロンの文化に合うチームを築きます。一方で、集客には、質の高いサービスの提供、口コミの促進、オンラインでの積極的なプロモーションが不可欠です。これらの戦略を適切に組み合わせることで、サロンの成功へとつながります。
関連記事: 美容室の集客方法とは?新規からリピーター増加のアイデアを解説

 

自分で店舗をもち独立を目指すべきか、業務委託を続けるべきか

完全独立か業務委託かの選択

個人の目標、リスク許容度、起業への情熱に大きく依存します。独立を選ぶと、経営の自由度が高まり、自分のビジョンを実現できる可能性がありますが、それには高いリスクと初期投資が伴います。一方、業務委託は安定した収入と低リスクを提供し、経営の負担が少ない一方で、収入や仕事のコントロールに限界があります。自分のキャリアに何を求めるか、どれだけのリスクを取れるかを考え、長期的な目標に照らして最適な選択をすることが重要です。

まとめ

業務委託で働く美容師にとって、インボイス制度の導入は大きな変化をもたらし、税務管理の複雑化や事務作業の増加を意味します。この変化に対応するためには、業務委託美容師が財務管理やビジネス戦略においてスキルアップする必要があります。独立を目指す場合は、経営知識、資金調達、適切なテナントの選定、効果的な集客と採用戦略が重要です。独立と業務委託の選択は、個々の目標やリスク許容度によって異なり、自分のキャリアと将来の目標を考慮して決定する必要があります。

業界の変化に柔軟に対応し、自身のキャリアを深く見つめ直すことで、未来への道はより明確になります。自分にとって何が最も価値があるのかを理解し、その目標に向かって一歩ずつ進んでいく勇気を持ちましょう。

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