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「美容室の多店舗展開を考えているけれど、成功するかどうか心配」
多店舗展開には最初の開業とは違ったリスクがともなうため、このような不安を抱える方も少なくありません。
たしかに多店舗展開はリスクがつきものですが、成功すると短期間で売上や利益を爆発的に伸ばせる可能性があるでしょう。実際に当社の場合、直営店舗(6店舗)はわずか7年で売上・利益ともに7倍以上も増えています。
本記事では美容室を多店舗展開するメリットを5つ説明し、注意点や成功のコツを解説します。
<目次>
美容室を多店舗展開するうえで知っておくべきなのがメリットとデメリットです。良い面と悪い面の両方を知っておかなければ、根本的な「多店舗展開するべきかどうか」の答えを出すことはできません。
そこで、まずはメリットを5つ紹介します。
美容室は多店舗展開すればするほど、売上や利益の増加につながります。例えば、「売上4,000万円、利益1,000万円」という店舗があるとしましょう。
すべての店舗が同じ条件となることを前提で多店舗展開した場合、売上は次のように推移します。
店舗数 | 売上 | 利益 |
---|---|---|
1店舗 | 4,000万円 | 1,000万円 |
2店舗 | 8,000万円 | 2,000万円 |
3店舗 | 1億2,000万円 | 3,000万円 |
4店舗 | 1億6,000万円 | 4,000万円 |
5店舗 | 2億円 | 5,000万円 |
かならずしも上記のとおりになるとは限りませんが、多店舗展開したほうが売上が多くなるのは事実です。売上が多くなれば、それに伴って利益の増加にもつながります。
このように、売上と利益を大きく伸ばしたい方は多店舗展開を視野に入れるべきでしょう。
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1店舗だけだと、お客様のニーズに対して柔軟に応じることができません。対応できるお客様の数には限界があるからです。
1店舗を一人で経営する場合、どれだけ効率よく施術しても月間で220名程度が限界です。月に22日間営業する場合、1日に10人を超えるお客様はお断りせざるを得ません。そうすると、失客につながってしまいます。また、効率を求めすぎるとカットやサービスの質低下を招きかねません。
多店舗展開する場合、A店が予約でいっぱいでもB店に誘導することができるため失客を防げます。1店舗のときよりもゆとりが生まれることから、質の低下を招くリスクも抑えられるでしょう。
多店舗経営することで、スタッフが求める環境を提供しやすくなります。店舗ごとに営業時間や休みなどの条件を変えることができるため、従業員満足度の向上につながるでしょう。
1店舗だけの場合、労働条件を一人のスタッフに合わせることは困難です。引っ越しなどで通勤が遠くなると、優秀なスタッフが他店に流れる可能性もあります。
一方、複数の店舗があれば、スタッフが引っ越しても別の店舗を紹介できます。また、近場に複数店舗を構えれば、シフトも柔軟に作成できるでしょう。
多店舗経営の場合、1つの店舗で損失を出しても他の店舗でカバーできます。例えば3店舗を経営する場合、2店舗が赤字でも、1店舗に赤字を超えるだけの利益があればトータルで黒字です。
営業利益 | |
---|---|
A店 | ▲200万円 |
B店 | ▲300万円 |
C店 | 1,000万円 |
トータル | 500万円 |
1つの店舗だけだと、その店舗の収益に経営が大きく左右されてしまいます。上記の例で説明すると、A店だけの場合、トータルの営業利益も200万円の赤字です。
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多店舗経営は仕入れ単価を抑えられます。店舗が増える分、原材料も増えるため、メーカーやディーラーから優遇されやすくなるからです。なかには多店舗展開したことで「原材料が5%OFFになった」というケースもあります。
このように多店舗展開すると売上の増加と支出の削減につながるため、より利益を伸ばすことができるでしょう。
次に、美容室を多店舗展開するデメリットについて解説します。デメリットは主に以下の4つです。
多店舗展開すると売上が高くなる一方で、固定費・変動費が増加します。店舗ごとに家賃や人件費が増えるからです。
消耗品費や光熱費などは節約することができますが、家賃や人件費は基本的に削減できません。思うように集客できなければ、固定費が売上を上回ってしまう可能性もあるでしょう。
スタッフの数が増えると、採用や育成が難しくなります。1店舗だけだと直接教育できますが、多店舗経営の場合、オーナーの目が届きにくくなりかねません。
直接教育できないと、次のようなリスクが生じる可能性もあるでしょう。
ただ、これらのリスクは現場に「店長」や「マネージャー」などの人材を配置することで解決できる可能性があります。
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多店舗経営すると、美容師として活躍できる場が少なくなってしまいます。現場ではなく経営者として管理面の仕事が増えるからです。
3店舗、4店舗と店舗が増えれば、カットや接客といった美容師の基本業務からは大きく離れてしまいます。このような状況は「現場の仕事が好き」という方にとってデメリットになりえるでしょう。
多店舗展開はリスクマネジメントをより徹底しなければなりません。1店舗で不祥事が発生すると、全店に風評被害の影響が及ぶ可能性もあるからです。
SNSが普及したことによってちょっとしたトラブルが爆発的に拡散され、結果として取り返しのつかない事態に発展するケースも少なくありません。このような事態を防ぐためにも、就業規則の策定やビジョン・ミッションの浸透、組織体制の強化などを心がけましょう。
美容室の多店舗展開で重要なのは「いかにしてリスクを抑えるか」です。1店舗のときよりリスクが高くなるのは上述したとおりです。
ここではリスクを抑えるための注意点を2つ紹介します。
多店舗展開はタイミングが重要です。タイミングが早すぎると、失敗するリスクが高まってしまいます。
最適のタイミングは以下の2つです。
重要なのが「1店舗の経営状態が安定していること」です。収支が赤字の場合やプラスマイナスゼロ程度であれば、まずは1店舗目を黒字にして経営の安定化を図りましょう。
安定させたうえで、資金に余裕がある状態が望ましいといえます。2店舗目も1店舗目と同程度の開業資金が必要になるからです。具体的な開業資金の相場はこちらで解説しています。
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多店舗展開の場合、物理的に「関わることができない店舗」が生まれます。つまり、スタッフだけで店舗が回るようにしなければなりません。
マニュアルの整備や組織体制などあらかじめ仕組みづくりを構築しておかなければ、店舗が回らずトラブルになりかねません。多店舗展開する前に、仕組みをつくっておきましょう。
美容室の多店舗展開を成功させるためには、いくつか抑えておくべきポイントがあります。実行してほしいのが以下の4つです。
まずは組織体制を明確にしましょう。多店舗展開する場合、オーナーがすべてを把握することはできません。
組織体制を明確にする方法として重要なのが役割の配置です。店長やマネージャーを配置し、オーナーがいないときでも適切に店舗を運営できるようにしましょう。主な役割は下記を参考にしてください。
ここで大切なのが役割分担をはっきりさせることです。役割がはっきりしなければ、単なる肩書きだけになってしまいます。「お金の締めは誰がするのか」「面接の担当者は誰なのか」など業務をリストアップしてそれぞれの役職に割り振りましょう。
スタッフの数が増えると、労働のトラブルも多くなります。例えば、次のようなトラブルが起こる可能性があるでしょう。
大切なのは働き方をしっかり見直すことです。従業員と店舗どちらにも不利益が出ないよう工夫しましょう。
当社の場合、年間休日は平均より20日以上多い「115日」です。
さらに、女性スタイリストの給与は平均より高い約28万5千円です。当社がおこなっている画期的な働き方改革はこちらをご覧ください。
働き方をしっかり見直せば、待遇を改善することができます。
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美容室の課題は店舗ごとに異なります。「なにが課題なのか」「どのように解決するべきか」などの課題を店舗ごとに洗い出して解決することが大切です。
重要なのが、ヌケ・モレなく課題を洗い出すことです。小さな課題がのちに大きなトラブルに発展する可能性はゼロではありません。トラブルのリスクを極力抑える美容室の経営戦略はこちらをご覧ください。
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多店舗を展開する際、1店舗目と同じくマーケティングが必要です。ただし、1店舗目と同じ手法でマーケティングしても同じ効果が得られるとは限りません。マーケティングはターゲットや競合のレベル、立地などによって変える必要があるからです。
場合によっては、新たに5W1Hやコンセプト等を再考しなければならない可能性もあるでしょう。次で当社がおこなったマーケティングの一環を紹介するので、参考にしてみてください。
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ここでは美容室の多店舗展開を成功させている当社の例を紹介します。
2014年と2020年を比較すると、売上・利益ともに約8倍も伸びていることがわかります。このように多店舗展開に成功すれば、大きな成長を遂げることができます。
当社が多店舗展開に成功した一因は、働き方を見直し、徹底的にターゲットを絞り込んだうえで適切なマーケティングを実施したからです。
例えば当社は離職率が9%ですが、これは働き方を見直したことによる結果です。美容業界の離職率は「1年で50%、3年で80%、10年で92%」といわれています。
また、当社はターゲットを「35歳から44歳までの子育て世代、専業主婦、世帯年収600万円以上」とかなり細かく設定しています。さらに、出店する際は次のようなリサーチ結果をもとに、ターゲットにリーチできる立地かどうかを入念にチェックします。
このような施策が多店舗展開による売上と利益の増加につながっているのです。
多店舗展開を含む今後の事業戦略について不安がある場合、まずは当社の無料相談をご利用ください。
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美容室の多店舗展開は「向いている人」「向いていない人」に分かれます。向いている人の特徴は以下のとおりです。
すべてに当てはまる必要はありません。どれか一つだけでも当てはまる場合、多店舗展開を検討してみるべきでしょう。
一方で、どれにも当てはまらない場合、1店舗の経営に集中したほうが賢明です。多店舗展開を検討する場合でも、のれん分けなど比較的リスクが少ない方法がおすすめです。
美容室の多店舗展開にはさまざまな方法があります。それぞれで特徴が異なるため、自分に合った方法を選択しましょう。
主な多店舗展開の方法は以下の3つです。
「直営による展開」とは1店舗目のオーナーが直接、他の店舗を経営することです。
メリット | デメリット |
---|---|
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直営は外部の組織に加盟するわけではないため経営しやすく、収益はすべてオーナーのものとなります。
一方、サポート体制がないため、自分たちの力だけで多店舗展開していかなければなりません。費用の面でも、事業の投資は基本的にオーナーが負担することになります。
のれん分けとは、スタッフに店舗の名前を使って開業してもらうことです。
メリット | デメリット |
---|---|
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のれん分けによる開業資金は、主に開業予定のスタッフが用意します。したがって、費用を抑えて多店舗展開できるでしょう。
一方で、収益性は低くなります。のれん分けした店舗から発生する売上の一定割合(7〜10%程度)が収益になります。また、スタッフがのれん分けに応じてくれるとは限らないという点にも注意が必要です。
フランチャイズとは、フランチャイズ店に加盟して多店舗展開する方法です。
メリット | デメリット |
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フランチャイズの場合、フランチャイズ本部にロイヤリティーを支払う場合もあるため、直営より収益性が下がる可能性があります。また、本部の意向に従わなければならない点から、窮屈さを感じることもあります。
一方で、フランチャイズはサポート体制が非常に豊富です。常にサポートしてくれるため、失敗するリスクを最小限に抑えられます。また、フランチャイズのブランド力を利用できるため、開業から軌道に乗るまでが早いというメリットもあります。
これらに魅力を感じる場合はフランチャイズによる多店舗展開を検討しましょう。フランチャイズに関してはこちらをご覧ください。
美容室の経営で成功したい場合、多店舗展開を目指すべきです。1店舗だけの経営はリスクが少ない一方で、すぐ頭打ちになりかねません。多店舗展開すれば、売上や利益は現在の数倍になる可能性があります。
ただし、多店舗展開はリスクが大きくなってしまう点に注意が必要です。リスクを抑えるには業務提携やフランチャイズを選択肢に入れたり、サロンづくりの仕組みやノウハウなどの知識と経験豊富なパートナーに相談してみることも大切です。
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