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「美容室の開業資金はどのくらい必要なのだろう?」
「できれば開業資金を抑えたい」
美容室の開業に関して、上記のような不安を抱いている方は少なくないでしょう。美容室は3年以内に「9割が廃業する」ともいわれているため、しっかりと開業資金を準備し、失敗しないよう計画を練るのが重要です。
本記事では美容室(美容院)の開業資金における平均的な相場を紹介し、開業を成功させるためのコツを解説します。
美容室の開業資金は店舗の大きさによって異なります。ここでは2つのパターンに分けて、開業資金の目安を紹介します。
一人で開業する場合、10〜15坪前後ではじめるのが一般的です。2〜3人のスタッフとはじめる場合、20〜30坪でスタートすることも珍しくありません。働くスタッフの人数にあわせた店舗の大きさを選びましょう。
まず、10坪の店舗で開業するケースです。
費用 | 相場 |
---|---|
物件契約 | 98万円 |
内装費用 | 495万円 |
美容機器・設備・備品費 | 108万円 |
広告宣伝費 | 45万円 |
求人・ 採用費 | 63円 |
運転資金 | 90万円 |
合計 | 899万円 |
小規模で開業する場合、求人・ 採用費用を安く抑えられます。固定費を最小限にできることから、リスクを少なくして開業できるメリットがあるでしょう。
一方で、売上が頭打ちになりやすいというデメリットがあります。ただ、このデメリットは2店舗目を検討するなど軌道に乗ってから解決することも可能です。
次に、20坪の店舗で2〜3人のスタッフと開業するケースです。
費用 | 相場 |
---|---|
物件契約 | 187万円 |
内装費用 | 935万円 |
美容機器・設備・備品費 | 204万円 |
広告宣伝費 | 85万円 |
求人・ 採用費 | 119円 |
運転資金 | 170万円 |
合計 | 1,700万円 |
スタッフと開業する場合、一人で開業するときよりランニングコストが必要です。ランニングコストが少ないと給料が払えず、すぐに開業資金が減ってしまう恐れがあるでしょう。
美容師の開業資金を用意するうえで大事なのが「何にいくらかかるか」を知っておくことです。開業資金の主な内訳は以下のとおりです。
フランチャイズや事業承継など以外で完全にゼロからスタートする場合、これらの資金が必要になります。以下でそれぞれを詳しく解説します。
はじめに、開業資金を一覧で紹介します。美容室の開業資金は、店舗の大きさや自己資金・借入できる金額によって異なります。どの内容に幾らかかるのか、総合計を100%と見立て参考内訳比率を以下に記載します。
※あくまでも目安です
項目 | 比率 |
---|---|
テナント費 | 11% |
内外装費用 | 55% |
美容機器・設備・備品費 | 12% |
広告宣伝費 | 5% |
求人・ 採用費 | 7% |
運転資金 | 10% |
合計 | 100% |
どれだけ低く抑えても、1,000万円近い資金が必要です。ただ、美容室の平均的な売上は年間1,000万〜1,500万円といわれています。営業利益を20%とするなら、早くて約4年で開業資金を回収できるでしょう。
ここで大事なのは経営をいち早く軌道に乗せることです。そのためには開業資金の内訳を把握したうえで、「どのような美容室にするか」を具体的に考えるのが重要です。
美容室は主にテナントを借りて店舗を構えます。テナントを借りる際には、以下の費用が発生します。
費用 | 相場 |
---|---|
前家賃 | 1ヵ月 |
敷金 | 3~10ヵ月 |
礼金 | 1ヵ月 |
仲介手数料 | 1ヵ月 |
例えばテナントの賃料が20万円だった場合、物件契約にかかる費用は以下のとおりです。
費用 | 相場 |
---|---|
前家賃 | 20万円 |
敷金 | 60万円(3ヵ月だった場合) |
礼金 | 20万円 |
仲介手数料 | 20万円 |
合計 | 120万円 |
テナントの賃料は地域によって異なります。主要都市の相場は以下をご覧ください。
※2022年10月31日時点
※参考:三幸エステート|市況データ
地域のなかでも場所によって賃料が変わります。駅前や大型ショッピングモールなどの場合、賃料はさらに高くなります。
開業の物件は主に2つの種類があります。
いずれの場合も内装費用がかかります。それぞれのメリット・デメリットと相場は以下のとおりです。
メリット | デメリット | 相場(坪単価) | |
---|---|---|---|
スケルトン物件 | 内装の自由度が高く、自分好みの美容室を作れる | すべてをゼロから揃えなければならないため、費用がかかる | 約25万〜50万円 |
居抜き物件 | すでに設備があるため、コストを抑えられる | 自由度が低い | 約12万〜20万円 |
例えば、20坪の美容室をスケルトン物件で開業するとします。この場合、内装費用は約500万〜1,000万円です。居抜き物件の場合は約280万〜400万円です。
コストを抑えたい場合、居抜き物件がおすすめですが、設備や建物の状態をしっかり確認しましょう。古くなっている場合、修理やリフォームにお金がかかり、スケルトン物件で開業するより高くなってしまう恐れもあるでしょう。
美容室を開業する際に必要となる主な設備は以下のとおりです。
主な設備 | |
---|---|
美容機器 | スタイリングチェア(カット椅子) シャンプー台鏡(スタイリングウォールミラーなど) トリートメントやパーマなどの専用機材 ドライヤー ヘアアイロン |
その他の設備 | パソコン エアコン 洗濯機 キャッシャー(レジ) セット・カット用のチェア 施術者用のチェア 待合室用のチェア、テーブル ワゴン 冷蔵庫 |
備品 | シャンプー、トリートメント類 パーマ、カラー剤など各種薬剤 タオル パーマロッド イヤーキャップ クロス、ケープ スティック コーム ハケ |
坪単価が大きければ大きいほど、設備資金も高くなります。美容機器やエアコン、冷蔵庫など大型の設備はリースという方法も選択肢に入れましょう。リースの場合、購入するわけではないので契約期間が終わると返却しなければなりませんが、開業費用を安く抑えることができます。
シャンプーやトリートメントなどの消耗品はメニューによって変わります。はじめのうちはラインナップよりも費用を抑えることを重視することがおすすめです。できる限り初期費用は抑え、お客様が増えてからニーズに合わせて仕入れましょう。
美容室の開業資金として見落としがちなのが広告宣伝費です。オープン前の宣伝が初月から軌道に乗ることができるかを左右すると言われていますので、しっかりと準備しましょう。
広告宣伝費の主な内訳を紹介します。
開業前の準備として最も大事なのが「チラシ・広告」です。株式会社ノーマリズムの調査によると、「美容室・ヘアサロンを選ぶ主な決め手」の1位が「家や職場から近い」であるとわかっています。
画像出典:株式会社ノーマリズム|ヘアログ
チラシを配るうえで大切にしたいことは「デザイン性」です。集客に効果的なデザインでない場合、ポスティングしても読まれることなく捨てられてしまいます。集客効果の高いチラシの作り方はこちらで解説しているので、ぜひご覧ください。
関連記事:
そのチラシ大丈夫?美容室のチラシデザインのポイントとは
一人で開業する場合、求人や採用費用はかかりません。はじめからアシスタントやほかのスタイリストを雇用する場合、求人・採用費用がかかります。
求人や採用にかかる費用の相場は以下のとおりです。
費用 | 相場 |
---|---|
中途採用 | 62.5万円 |
新卒採用 | 53.4万円 |
パート・アルバイト採用 | 5.1万円 |
上記に加えて、採用した際の給与を支払う必要があります。アシスタントの場合、平均的な給与は約15~20万円、平均年収は約230万円前後とされています。できれば開業資金として、給与の3ヵ月分を用意しておくのが理想的です。
併せて、美容室の開業資金としてかならず準備しておきたいのが運転資金です。ランニングコストは毎月発生するため、少なくとも2ヵ月分以上は確保しておきましょう。
主なランニングコストは以下のとおりです。
目安としては、100万〜300万円ほど用意しておくのが理想です。
運転資金を十分に用意できなければ、廃業するリスクが高くなってしまいます。美容室は60%が1年以内に廃業、3年以内には90%が廃業するといわれているのです。廃業すると開業資金が無駄になるだけでなく、借金が残ってしまうこともあるでしょう。
このような事態を免れるためにも、経営戦略や計画的な資金調達が必要です。美容師の開業を成功させるポイントは次で詳しく解説します。
美容室の開業を成功させるうえで大事なのが、以下の6点です。
上記をかならず念頭に置いて開業を目指しましょう。
まずは開業前に経営戦略を考えましょう。地図がないと目的地にたどり着けないのと同じように、経営戦略がないと失敗するリスクが高まったり、軌道に乗るのが遅くなったりしてしまいます。
経営戦略を考えるうえで大事なのが、「理想的な美容室をつくる」ことではなく「お客様が来たいと思える美容室をつくる」という点です。
どれだけ内装に開業資金を投じて自分好みの美容室をつくれても、お客様に選んでもらえなければ成功しません。
「どのようなお客様をターゲットにするのか?」
「そのお客様に対して、どのようなサービスを提供するのか?」
「そのサービスを提供するために自分ができることはなにか?」
これらの点を明確に言語化し、美容室のコンセプトやターゲットを決めるのが大切です。
自己資金だけで開業できない場合、資金調達が必要です。資金調達を行う際は、本記事で紹介した開業資金を参考にしながら「どのくらい融資が必要か」を計算しましょう。
次に、資金調達先を選定します。主な資金調達方法は以下の2つです。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
日本政策金融公庫 | 無担保・無保証の借入が可能 申し込みやすい 比較的金利が低い |
原則として繰り上げ返済ができない |
制度融資 | 日本政策金融公庫より低金利で借り入れできる可能性がある | 審査に時間がかかることがある |
美容室の開業では、日本政策金融公庫で借り入れすることが多いです。ただ、かならずしも借り入れできるとは限りません。日本政策金融公庫も制度融資も、審査を受ける必要があります。融資を受ける際のポイントはこちらで解説しています。
関連記事:
美容室の独立資金はいくら必要?
開業してまもなくは固定費をできるだけ下げましょう。固定費は毎月支払っていかなければならないため、必要最低限に抑えるのが大事です。
固定費のなかでも特に重要なのが人件費です。テナント料を除けば、水道光熱費やインターネットなどの通信費は、固定費のなかでもそれほど高いものではありません。しかし、人件費は低くても毎月10万円以上かかってしまいます。
さらに、日本の法律には「解雇が非常に難しい」という特徴があります。一度雇用してしまうと合理的な理由がない限り、基本的には解雇できません。リスクを極力抑えたい場合、まずは一人で開業するのがおすすめです。
材料費も「安くできる方法」を検討しましょう。同じ商品でも、業者によって価格が違うことがあります。しっかりと相見積もりを取ることで、材料費を安く抑えられるでしょう。
また、必要なカラー剤を厳選し、混ぜて色味を作ることで発注量を減らすことができます。
なお、材料費は売上の7〜12%前後が目安です。開業時は7%を目指すのがおすすめです。
開業資金の節約を心がけるとともに、集客戦略を考えましょう。集客のなかには、開業資金を使わずとも高い効果を得られる方法があります。
例えば、以下の集客方法は無料でできます。
特に、InstagramやTikTokなどは美容室の雰囲気やカットのスタイルなどを伝える方法として最適です。
複数人で開業する場合や経営に専念したい場合、採用計画が必要です。
「どのような人を採用するのか」
「どのような媒体で求人を出すのか」
媒体によって費用や獲得できる人材のレベルが異なります。上記の点をしっかりと考えて、採用計画を立てましょう。
採用計画を立てるうえで大事なのが、美容室の環境や働くうえでの待遇です。環境や待遇が良くなければ、いくら求人を出してもあまり効果はありません。採用が決まったとしてもすぐに退職してしまうと、時間や費用などが無駄になってしまいます。
このような事態を避けるためにも、採用計画とともに「従業員から選ばれる美容室づくり」を目指すのが大切です。
美容室の開業資金は店舗の大きさや開業場所などによって異なりますが、多くの場合、1,000万以上かかります。美容室は「1年以内に6割が廃業する」ともいわれているため、できるだけリスクを少なくして開業するのがおすすめです。
リスクを最小限に抑えるには、業務提携やフランチャイズを選択肢に入れたり、サロンづくりの仕組みやノウハウなどの知識と経験豊富なパートナーに相談してみたりすることが大切です。
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