受付時間: 10:00~18:00 (土日祝除く)
美容室を経営するにあたって「何からはじめればいいのかわからない」と考える方は珍しくありません。経営で大切なのは、勉強やリサーチなどを通してあらかじめ準備しておくことです。
本記事では美容室経営を成功させる5つのポイントを紹介し、勉強内容や準備の方法などを詳しく解説します。
<目次>
美容室経営は何も考えずにはじめて成功するものではありません。1年以内に6割が廃業するといわれているため、しっかりと準備を整えておく必要があります。
そこで大事なのが以下の5点です。
開業する前に、かならずこれらを頭に入れておきましょう。
美容室の経営をはじめる前に必要なのが出店エリアの市場調査です。基本的に、出店エリアによって成功する可能性は大きく変化します。
主な出店エリアは以下のとおりです。
おおまかに「どこで出店するか」を決めたら市場調査します。市場調査の主な流れは以下をご覧ください。
見落としがちなのが「競合となる美容室が開業を予定していないか」という点です。リサーチ時にはなくても、開業するまでの間にほかの美容室がオープンする可能性はゼロではありません。開業する前に、不動産会社に問合せてみましょう。
テナントには2つの貸出し方があります。それぞれのメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット | 内装工事費の相場(坪単価) | |
---|---|---|---|
スケルトン物件 | 何もないためゼロから自分の美容室をつくれる | 自分でゼロからつくり上げないといけないため、お金や手間、時間がかかる | 約25万〜50万円 |
居抜き物件 | すでに内装が施されていることが多くコストを抑えられる | 自由度が低く、自分好みの美容室をつくりづらい | 約12万〜20万円 |
また、テナントが「どのような建物に入っているか」「外からの視認性はどうか」「建物の前に看板を置けるかどうか」などもチェックしましょう。
美容師の経営で最も力を入れるべきなのが集客です。お客様に来てもらわないことには、売上は発生しません。
主な集客方法は以下のとおりです。
重視すべき集客方法は出店エリアやテナントの形態で異なります。どのような集客方法を取るべきなのかはこちらを参考にしてください。
開業資金を借り入れる場合、事業計画が必要です。金融機関は事業計画をもとに「返済できる事業かどうか」を判断します。
事業計画を組み立てるうえで重要なのが以下の3つです。
金融機関に提出する事業計画書に、上記を具体的に記載しましょう。審査を通過するために知っておくべきポイントはこちらの記事で解説しています。
関連記事:
美容室の独立資金はいくら必要?
美容室を経営するには、ある程度の知識が必要です。知識がないと、しっかり経営戦略を練って出店しているほかの美容室に負けてしまいます。実際に、美容室は約60%が1年で、約90%が3年で廃業するといわれています。
経営の知識を付ける主な方法は以下の3つです。
美容室を開業すると、会社員ではない経営者の立場になります。会社員と経営者はさまざまな点で異なります。例えば、会社員は極端に言うとなにもしなくても一定の給料がもらえますが、一人で経営する場合、なにもしなければ収入はゼロです。
このような違いをしっかり把握して、出店だけでなく気持ちの準備も怠らないよう心がけましょう。
美容室は年間8,000以上が廃業しています。政府統計『令和2年度衛生行政報告例』によると、閉店数は約1万215店※です。
なぜこれほどまでに廃業が多いのか、その理由は4つあります。
上記の点をあらかじめ把握しておけば、早期の廃業を防ぐことができるでしょう。
※2020年3月末の施設数から新規開店数を引いたもの
客単価の設定が適切でないと、支出が収入を上回ってしまいます。具体的に「いくら売上があれば経営できるのか」をシミュレーションしてみましょう。
厚生労働省のデータによると美容室の平均的な客単価は約6,000円程度です。
※画像出典:厚生労働省|美容業 結果の概要
平均客数は以下のとおりです。
※参考:厚生労働省|美容業 結果の概要
25日営業する場合、合計の客数は281人になります。これらのデータから計算すると、1ヵ月の平均売上は約168万6,000円といえるでしょう。ここからテナントの賃料や人件費などで100万円かかった場合、営業利益は68万6,000円です。
極端な話ですが、客単価を3,000円にした場合、売上は84万3,000円となり毎月15万7,000円の赤字が発生します。このように「客単価をいくらに設定すれば赤字にならないのか」をしっかり計算するのが大切です。
美容師は離職率が非常に高いとされています。実際に、「10年以内の離職率は約90%」といわれることも少なくありません。
スタッフがすぐに辞めてしまうと、人手不足に陥るだけでなく売り上げの低下を招く恐れがあります。良くない理由で辞めた場合、そのスタッフから悪い口コミ・評判が広がり、採用や集客に悪影響をおよぼす可能性があるのです。
このような事態を避けるためにも、しっかりとスタッフを美容室に定着させる環境づくりが大切です。
美容室の経営は運転資金を用意しておくことが重要です。綿密に事業計画を練ったとしても、シミュレーションどおりの経営になるとは限りません。むしろ、予想どおりにならないことのほうが多いのです。
運転資金を用意しておかなければ、軌道に乗る前に経営が続けられなくなってしまいます。目安としては、常に経費の2ヵ月分程度をキャッシュで残しておくことをおすすめします。
経営の知識不足によって、廃業を招くこともあります。会社員と経営者では、求められるスキルがまったく違います。
会社員に求められるスキル | 経営者に求められるスキル |
---|---|
|
|
どれだけ会社員として成果を挙げられていたとしても、経営者として成功できるわけではありません。美容室を開業する前に、経営に関するマインドや知識を蓄えておきましょう。
一言で「美容室経営」といっても、さまざまな種類があります。
ここではメリット・デメリットを紹介しながら、それぞれを解説します。
個人経営とは、その名のとおり自分一人で開業する方法です。
メリット | デメリット |
---|---|
|
|
個人経営の大きなメリットは内装や営業スタイルなどを好きなように決められる点です。フランチャイズのように本部の意向に従う必要はありません。また、収益がすべて自分のものになります。
一方で、あらゆる責任が自分にのしかかります。サポート体制がないため、集客や業務の改善に関してアドバイスをもらうこともできません。すでにお客様が付いているなど個人としての強さがなければ成功は難しいといえるでしょう。
業務委託型サロンとは、美容室から業務を委託されて働くという方法です。
メリット | デメリット |
---|---|
|
|
業務委託型サロンは開業するわけではありません。そのため、開業費用がかからない、という点が大きなメリットです。歩合制になるため、場合によっては会社員時代より収入が高くなる可能性もあるでしょう。
ただし、委託であるため、自分のお店を持てるわけではありません。また、精算業務や請求書の作成など面倒な事務を自分でやらなければならないというデメリットもあるでしょう。
社内のれん分けサロンとは、勤務している美容室とのれん分けの契約を結んで開業するという方法です。
メリット | デメリット |
---|---|
|
|
社内のれん分けサロンは美容室のブランドや経営ノウハウを利用できるため、ゼロから立ち上げるよりお客様に安心してもらえます。また、のれん分けという形になるため、退職しても元の勤務先と関係が悪化することは基本的にありません。
デメリットは、売上の一部をロイヤリティーとして勤務先に支払わなければならない点です。常にロイヤリティーを払い続ける必要があるため、完全に個人で開業するより個人の利益が少なくなってしまいます。また、のれん分けはもとの勤務先にある程度ブランド力や経営ノウハウがないと、あまりメリットを感じられないといえるでしょう。
フランチャイズとは、フランチャイズ店に加盟して開業する方法です。
メリット | デメリット |
---|---|
|
|
フランチャイズも売上の一部をロイヤリティーとしてフランチャイズ本部に支払わなければなりません。また、営業の方針を本部に合わせる必要があるため、すべてを自分一人で決められるわけではないという点もデメリットです。
対して、フランチャイズ本部という母体があるため、ブランド力を利用して開業当初から集客を見込めます。さらに、サポート体制が整っているため、市場やターゲットの選定、資金調達、事業計画などさまざまな場面で力になってくれます。
より詳しいフランチャイズのメリット・デメリットはこちらで解説しています。
関連記事:
フランチャイズのメリット・デメリットとは?
美容室の経営はコツを把握しておくことで成功確率が大幅に高まります。ここで覚えておくべき7つのコツを紹介します。
経営の形態が個人経営であれフランチャイズであれ、これらはすべて大切です。
客単価を上げると売上も高くなります。売上は「客単価×客数」だからです。したがって、美容室の売上は「いかに客単価を高くできるか」が鍵を握っています。
客単価を上げるための主な施策は以下のとおりです。
施策を成功させるうえで大事なのが「ターゲット選定」です。ターゲットを絞り込めば、同じような年齢層・タイプのお客様が来店されます。そうすると、ニーズを把握しやすくなるのです。
ニーズを把握し、ターゲットに合わせたセットメニューやサービス、商品や機器を導入することで、客単価のUPを狙うことができます。まずは「どのようなお客様をターゲットにするか?」をしっかり考えましょう。
美容室の経営を安定させるうえで重要なのがリピート率です。リピート率が高ければ高いほど収益を予測でき、明確な事業計画と目標を設定できます。先の見込みを予測できることで、新規集客がどのくらい必要か計画を立てることができます。
はじめのうちは固定費をできるだけ減らしましょう。固定費が高くなると、廃業のリスクが高くなります。
特に大きな固定費が「テナント賃料」と「人件費」です。これらは金額が大きいうえに、毎月支払っていかなければなりません。リスクを最小限に抑えるためにも、まずは小規模のテナントではじめ、採用する人数を慎重に検討することが大切です。
美容室のコンセプトやブランディングを確立しましょう。他店と差別化できなければ、お客様は足を運んでくれません。
コンセプトやブランディングの設計方法はいくつかありますが、メジャーなのは「3C分析」です。3C分析するには、まず以下の3つに分けます。
この3つを書き出し、「自社」と「顧客」の接点となる部分をコンセプトやブランディングにするのが一般的です。
マーケティング戦略は出店エリアによって異なります。例えば、地元や郊外などアクセスが不便なところでは、周辺にチラシのポスティングや街頭広告、車移動でお越しいただくお客様など見込み客を絞っていくのが大切です。
都市部の場合は、エリア層のお客様を狙ってSNSやSEO、MEOに力を入れるのがおすすめです。
このように、自分の美容室に合った集客方法を選択しましょう。
美容室の経営で基本となるのがサービスの質を向上することです。サービスの質を向上させるには、お客様とコミュニケーションを取るのが大切です。そうすることで「どのようなニーズがあるのか」がわかります。
ここでもターゲット選定が大事です。しっかりとターゲットを定めなければ、あらゆるニーズに対応しなければなりません。そうすると、お客様ごとに個別の仕入れやサービスが必要になり、出費が高くなってしまいます。このような事態を避けるためにも、徹底的にターゲットを選定しましょう。
顧客満足度(CS)だけでなく従業員満足度(ES)も大事です。従業員満足度が低いとモチベーションが下がり、売上の低下や退職を招きます。
スタッフの環境を整えるうえで大事なのが給与や休日などの待遇です。「マイスタ®サロン」の場合、年間休日が115日と平均より大幅に多いうえに、月収は約28万5,000円と高水準です。「マイスタ®サロン」が取り組んだ環境を劇的に改善する方法はこちらで紹介しています。
関連記事:
美容師を高待遇にするのは難しい?給与・休日・職場環境を魅力的にするためには
美容室・美容院の経営は会社員時代と違ったスキルが求められます。必要となる主なスキルは以下の3つです。
経営をはじめる際は、これらをしっかり身に付けておきましょう。
美容室の経営は、数字を把握・管理できるようになると成功しやすくなります。経営状態はすべて数字で表れます。
難しい方程式や計算力は必要ありません。「なににどれだけお金を使っているか」「どれがお金を生み出しているか」など数字のチェックを習慣付けましょう。
経営そのものやファイナンスに関する知識を身に付けておくと、さまざまなリスクに備えられます。いくら数字に強くても「どのようなお金の使い方をすれば売上を伸ばせるのか」「なにが経費にできるのか」などがわかっていなければ損をしてしまうこともあるでしょう。
経営やファイナンスの知識を身に付けるためには、積極的に異業種や専門家などと交流を図るのがおすすめです。
マーケティングスキルは売上を効率的に向上させるために必要となるものです。今回紹介したもの以外にも、マーケティング方法はいろいろあります。
マーケティングスキルを身に付けておけば集客の選択肢が広がるとともに、「なにが効果的でそうでないのか」がわかるようになります。例えば、コンサルティング会社やマーケティング会社などから集客の営業をかけられた際に「必要かどうか」をはっきり結論付けることができるのです。
美容室の経営で最も大切なことはは事前準備です。準備を怠って開業するのは非常にリスクが高いといえるでしょう。
特に美容室の数は毎年増加しています。これから先、今まで以上に競争は激しくなることが予想されます。このような状況のなかで経営を成功させるには、業務提携やフランチャイズを選択肢に入れたり、サロンづくりの仕組みやノウハウなどの知識と経験豊富なプロに相談することも大切です。
「マイスタ®サロン」は、
サロン経営のお悩みを解決するパートナーシップ制度です。
集客や人材の問題で悩む”関西の美容サロン様”に
女性美容師が働きやすいサロンづくりの仕組みやノウハウを共有し、
サロン経営のサポートをいたします。
課題から探す