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美容室を出店する際、居抜き物件かスケルトン物件か検討する方は少なくありません。
実際、居抜き物件は初期費用を安く抑えられるほか、出店までのスピードが早い傾向にあります。一方で、いくつかデメリットがあることも事実。
今回は、居抜き物件のメリット・デメリットをまとめつつ、注意点や物件探しの方法についても紹介するので、参考にしてください。
美容室の出店において考慮すべき立地条件に関するポイントは、ターゲット市場を明確に理解し、その市場が求めるサービスを提供できる場所を選ぶことが重要です。
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<目次>
テナント選びには「居抜き物件」と「スケルトン物件」の2種類があります。ここではそれぞれの特徴を紹介します。
居抜き物件とは、設備や備品などを残したまま店舗を譲渡・賃貸することです。すでに美容室として営業していた店舗の場合、設備などをそのまま、あるいは一部を残した状態で契約することになります。なかには、美容室以外の居抜き物件もあります。
居抜き物件で出店する際に造作譲渡できるものは、テナントの状況によって異なりますが、主に以下のとおりです。
そのため、居抜き物件ではこれらの機材や備品を一から揃える必要がないという点が、最大のメリットです。また、地域の人には「美容室がある」と認知されているため、スケルトン物件に比べると、認知度が高い状態で出店できます。
スケルトン物件とは、備品や機材が何もないまっさらな状態で店舗を譲渡・賃貸することです。居抜き物件とは異なり、すべての機材や備品を自分でそろえる必要があります。
そのため、居抜き物件よりも、コストや時間、手間がかかります。
一方で、自分の好みやターゲット層に合わせ内装や外装に反映できるという点は、メリットと言えるでしょう。
また、居抜き物件に比べると、候補地が多い傾向にあります。
例えば居抜き物件の場合、「美容室として使っていた店舗」という条件がつくため、希望しているエリアでの物件探しが困難になりかねません。一方で、スケルトン物件は対象が多いことから、場合によってはすぐに好みの物件を見つけられる可能性があります。
美容室を居抜きで出店する場合、メリット・デメリットがあります。「居抜き物件かスケルトン物件かどちらがいいんだろう?」と悩む場合、これから紹介するメリット・デメリットを参考にすることをおすすめします。
それぞれ紹介すると、以下のとおりです。
詳しく紹介するので、参考にしてください。
居抜き物件は、スケルトン物件に比べると初期投資を抑えらえる傾向にあります。備品から機材まですべてそろっているからです。
例えばスケルトン物件の場合、内外装費用や設備・備品だけでも坪単価45万〜かかってしまう可能性があります。つまり、貯蓄や借り入れが必要です。
居抜き物件のように、内装や設備、備品をすべて造作譲渡できる場合、これらの出費を抑えられます。そのため、コストを最小限に抑えたい場合は、居抜き物件がおすすめです。
開業資金の目安については、以下の記事で具体的に説明しているので参考にしてください。
関連記事:
美容室の開業資金はどれくらい?手続きや必要資金の目安を解説
居抜き物件はスケルトン物件に比べると、オープンまでの時間を短縮できます。営業に必要な備品や機材が残されているからです。
スケルトン物件の場合、内外装費や設備・備品の購入などを自分で進める必要があります。コストがかかるほか、時間や手間もかかります。場合によっては、営業までに3カ月以上かかってしまうことも。
そのため、できる限り早く出店したいと思っているなら、居抜き物件がおすすめです。
開業の具体的な流れについては、以下の記事でまとめています。
居抜き物件はコストが抑えられたり、オープンまで早くできるというメリットがありますが、内装の自由度が低いというデメリットがあります。
居抜き物件は機器や設備、備品が残されているため、まっさらな状態で店舗をつくることができません。
内装工事をやり直すことで自分好みの美容室を作れますが、コストと時間がかかります。そのため、ゼロから自分好みの美容室を作りたい場合は、居抜き物件よりもスケルトン物件のほうがおすすめです。
居抜き物件の場合、内外装費や設備・備品費を安く抑えられるのは事実です。ただ、「内装が古くなっている」「設備が壊れている」などの問題が発生した場合、新たに修理や廃棄・購入をしなければなりません。
場合によっては修理したものの長く使うことができず、買い直しを迫られることもあります。この場合、修理費と購入費がかかってしまうため、新品を買ったときよりコストが高くなりかねません。
居抜き物件で美容室を開業することには、さまざまなリスクがあります。例えば、きちんと物件を見極めなければ解体・修繕費などが発生するでしょう。
このようなリスクを最小限に抑えるためには、以下3つの注意点を事前に把握しておくことが重要です。
前の美容室が「なぜ退去したのか」をかならず確認してください。退去の理由は契約の大きな判断材料になります。
美容室が退去する理由は主に2つあります。
このうち、事業拡大による転居であれば問題ありません。前向きな退去理由だからです。
一方、経営不振による退去である場合は注意してください。経営不振の理由が立地だった場合、同じように経営がうまくいかなくなる恐れもあるでしょう。
経営不振で退去した店舗を造作譲渡にあわせる場合、しっかりと経営戦略を考えるのが重要です。失敗のリスクを極力抑える美容室の経営戦略はこちらをご覧ください。
関連記事:
美容室の経営戦略とは?集客・売上増加のマニュアルをわかりやすく解説
設備・備品を造作譲渡にあわせる場合、契約前に状態をチェックするのは欠かせません。特にチェックが必要なのは以下の2つです。
まず確認するべきなのが、ボイラーやエアコンといった機器・設備です。このような機器・設備は買い替えや修繕が高くなりかねません。大型の機器や設備は特に使用年数と可動状態をしっかりチェックしましょう。目安としては、使用年数が10年以上になると買い替えの検討が必要です。
シャンプー台やスタイリングチェアも、経年劣化によって使用できない場合があります。状態によっては修理すら不可能なこともあるでしょう。実際に試してみて「開業後も使えるかどうか」を確認するのがおすすめです。
譲渡物の確認も大切です。転居による退去の場合、オーナーによっては「これとこれは持っていきたい」と考えている可能性があります。「引き継げるもの」「引き継げないもの」をしっかり確認しておかなければ、のちのちトラブルになる可能性もあるでしょう。
また、「譲ってもらえるつもりで資金調達の計画を立てていたけれど、譲ってもらえなかった」といった事態になれば、思わぬ出費を迫られるケースもあります。このような事態を避けるためにも、譲渡物の確認は必須です。
物件そのものの見極めも重要です。特に以下の2点はしっかりチェックしましょう。
物件のエリアによってお客様の層は異なります。例えばターゲット層を「30代の女性」に設定する場合、30代の女性が来店しやすい立地や物件でなければなりません。自分のターゲット層に合致した物件か、もしくは事業計画を実際の客層に合ったものに変更することがおすすめです。
なかには「特にターゲットを決めていない」という方もいるでしょう。ターゲットを決めずに開業するのはおすすめできません。ターゲット選定は経営するうえで必須だからです。
当社の「マイスタ®サロン」では「35歳から44歳までの子育て世代、専業主婦、世帯年収600万円以上」とかなり細かくターゲットを絞っています。まずはこのようにターゲットを決めましょう。
競合をリサーチせずにはじめてしまうと、自店の美容室の強みを生かすことができません。差別化は美容室のみならず、事業をはじめる際の重要な要素の一つです。
特に、半径500メートル圏内にある競合はかならずリサーチしましょう。集客における徒歩圏内は「半径500メートルである」といわれています。リサーチする際は、以下の点を確認してください。
「競合がどのような層をターゲットにしているか」「そのターゲットを獲得するためにどのような施策を講じているか」などを分析しましょう。分析することで「自分の美容室で何ができるか」が見えてきます。
居抜き物件の退去理由が、経営不振によるものだった場合、立地が関係している可能性があります。実際に現地に足を運んでからしかわからないことなので、以下のような点に注意して、なぜその場所が失敗しやすいのかを検討します。
このように、お客様に対してデメリットだと感じるような立地は、運営においてマイナスになり得るため、しっかり見極めるようにしましょう。とくに、美容室が多い地域では、ほかの美容室にお客様を取られるリスクにもつながります。
もちろん立地だけがすべてではなく、サービスやメニューの組み合わせによっては立地が悪い美容室でも集客できますが、まれなケースです。
コストを考慮しつつ、立地をよく見極めたうえで店舗を決めましょう。
美容室の居抜き物件では、基本的に造作譲渡契約を締結します。不動産契約とは別途おこなう契約で、店舗にある設備や機材を次の借主に譲る内容の契約になります。
不動産会社が仲介に入る場合もあれば、当事者間で話をするケースも少なくありません。
この造作譲渡契約では、内容次第では以下のようなトラブルに発展することもあります。
前述しましたが、機材や備品が古いと修理交換が必要になる場合があり、その費用は借主負担です。場合によっては、処分しなければならないこともあり、撤去・処分で思わぬ出費に繋がることも。
また、物品をすべて譲渡されるとは限らないため、事前に確認しておくと、契約後のトラブルを避けられます。
居抜き物件を契約する際は、以下の流れで進めていきます。
多くの場合、不動産会社が仲介に入ってくれますが、物件契約で失敗しないためにも流れをまずは把握しておきましょう。
居抜き物件を契約する場合は、まず現地で物件をチェックしましょう。注意すべきポイントは以下の通りです。
給水設備については、シャンプー台でチェックしましょう。古いシャンプー台だと、給排水の問題や排水溝に水が詰まったり、水漏れしたりする場合があります。
次に、電気供給に関しては、美容室で使用される電気設備が問題なく動作するかを確かめるために、電気容量が十分かどうかをチェックすることが大切です。具体的には、ドライヤーや空調設備などを同時に使用して、電力が供給され続けるか、ブレーカーが落ちてしまわないかをテストします。
最後に、ガス設備についてですが、給排水設備を確認する際にあわせて、温水が出るかどうかを確認します。これにより、シャンプーやその他の施術に必要な温水が確実に供給されることを保証します。
これらのチェックをすることで、契約前に失敗するリスクを下げられます。
物件のチェックが終わったら、早い段階で申し込みをしましょう。人気がある居抜き物件は、ほかのオーナーが先に契約をする可能性が高いからです。
基本的には、申し込みが入った時点で審査に入るため、他者が契約することはありません。
しかし、契約状況や条件次第では、他者にとられるリスクもゼロではないため、いいと感じたら即申し込みをすることが大切です。
申し込みが完了して本契約の流れになると、仲介手数料や敷金など、契約に必要なお金を用意しなければなりません。自己資金でまかなえる場合は必要ありませんが、必要に応じて融資を受けることになります。
融資の審査は時間がかかり、場合によっては2か月以上かかることもあるため、早い段階で申請しておくことをおすすめします。
融資の審査が終わり、必要な資金が整ったら、次は実際に契約の手続きに進みましょう。この段階では、契約に必要な各種費用の準備が重要です。
これらの支払いが完了したら、本契約をして完了です。
物件を借りる場合、主に2つの契約形態があります。
居抜き物件に限らず、美容室を出店する際に必要な知識なので、それぞれ紹介します。
普通借家契約とは、多くの賃貸物件で利用されている契約形態です。
契約期間は通常2年間で、借主からの申し出や、貸主と借主の間で問題がない場合、自動的に契約が更新されます。
定期借家契約は、貸主が定める期間内で入居可能な契約形態です。期間は様々であり、1~2年の短期間もあれば、5~10年という長期間もあります。
一度契約すると原則として中途解約できず、期間が満了するまでは家賃を支払う義務があります。また、満期になった場合、多くの場合契約更新ができません。更新する場合は、再度契約する必要があるので、注意が必要です。
物件を契約する際、さまざまな費用が発生します。多くの場合不動産会社で確認できますが、事前に知っておくと予算計画が立てやすくなります。以下で、よく発生する費用を紹介します。
居抜き物件を契約する際、事前にトラブルを避けるためにも、以下の3つのポイントを確認しましょう。
これらのポイントについて、詳しくご説明いたしますので、ぜひ参考にしてください。
居抜き物件では、事前に機材や設備がどの程度現行で使えるのかをチェックしておきましょう。また、オーナーに直接質問できる機会があれば、次のような点を尋ねると良いでしょう。
これらを明確にしておくことで、準備段階でのメンテナンスや修理、交換ができます。場合によっては、追加費用がかかることもあるため、しっかりと確認しておくことが大切です。
居抜き物件では、すべての物品や設備が譲渡してもらえるとは限りません。とくに、オーナーが転居予定の場合は、一部備品を引っ越し先に持っていく可能性もあります。
場合によっては、すべての設備や備品を持っていくこともあるため、譲渡前に確認しておくことが大切です。
ここで重要なことは、残るものと持っていかれるものを明確にしておくことです。契約書面に残すことになりますが、トラブルにならないためにも、現地で確認しておきましょう。
内容を確認して、設備の状態や譲渡されるものを確認出来たら、条件を踏まえたうえで契約書面を発行し、書面に残しておきましょう。
書面を発行しておくことで、食い違いが起きた際のトラブルを防ぐことができます。
美容室の居抜き物件は、簡単に見つかるものではありません。スケルトン物件に比べて数が多いわけではないからです。
そこで、ここでは美容室の居抜き物件を探すおすすめの方法を4つ紹介します。
まずは不動産ポータルサイトを利用しましょう。不動産ポータルサイトとは複数の不動産業者が物件を掲載しているサイトのことで、テナントや店舗の情報を簡単に検索できます。
美容室の居抜きに強い主な不動産ポータルサイトは以下のとおりです。
不動産ポータルサイトは簡単に探せる一方で、集客力のある人気の物件はあまり出回らないというデメリットがあります。なぜなら、集客力のある物件はインターネット上に掲載される前に契約が決まってしまう可能性が高いからです。
また、人気の物件は掲載されるとすぐに契約が決まってしまう傾向にあります。定期的に不動産ポータルサイトをチェックして、良い物件を見つけたらできるだけ早く問い合わせましょう。
不動産会社に直接相談するという方法があります。テナント物件に強い不動産会社と関係を築ければ、不動産ポータルサイトに掲載する前の物件情報をいち早く伝えてくれる可能性があるでしょう。
一方で、不動産会社と関係を築くのは時間がかかります。いくつかの不動産会社を巡って、希望する物件の詳細やエリアなどをしっかり伝える必要があるでしょう。
地元など開業したいエリアが決まっている場合、実際に散策して空きテナントを探すという方法があります。散策していると、思わぬところで空きテナントを見つけられる可能性があるでしょう。
空きテナントを見つけた場合、不動産会社の看板やステッカーが貼られていることが多いです。すでに決まっている可能性もあるため、まずは問い合わせてみましょう。
フランチャイズで開業するという方法もあります。フランチャイズで開業すると、フランチャイズ本部が開業に向いている物件を紹介してくれます。
この場合、かならずしも居抜き物件を紹介してくれるとは限りません。基本的にはフランチャイズ本部の意向に沿わなければならないため、スケルトン物件での開業となる可能性もあるでしょう。
一方で、フランチャイズで開業する場合、サポート体制が充実しています。例えば、当社の「マイスタ®サロン」では次のようなサポートを実施します。
さらに、開業後もコンサルティングや広告宣伝の作成などで支援するため「軌道に乗るのが早い」というメリットもあるでしょう。実際に、1年目で「月間最大300名もの集客に成功した」という実績もあります。軌道に乗るのが早ければ、初期費用の回収も早くなります。フランチャイズに関してはこちらをご覧ください。
美容室のフランチャイズについては、以下の記事で詳しくまとめているので、気になる人は参考にしてください。
関連記事:
美容室のフランチャイズ経営は儲かる?オーナーの年収ってどれぐらい?
また、マイスタ®サロンではライセンス契約という方法もあります。フランチャイズほど制約がなく、ロイヤルティは発生せず、店舗名が自由に設定できるなど、自由度が高い契約形態です。
詳しい内容については、以下ページでまとめているのでご参照ください。
>>マイスタ®サロンのライセンス契約・フランチャイズ契約について
美容室を居抜きで開業することには、コストや時間を削減できるというメリットがあります。一方で、自由度が低くなったり解体や修繕で出費がかさんだりするデメリットもあると覚えておきましょう。
また成功に大切なのは「出店前のマーケティング調査」です。
美容室の出店において考慮すべき立地条件に関するポイントは、ターゲット市場を明確に理解し、その市場が求めるサービスを提供できる場所を選ぶことが重要です。
特に、以下のような要素が重視されます。
ターゲット市場の居住地域:
ターゲットとなる顧客層が多く住んでいる地域や、その地域の特性に合ったサービスを提供できるかどうかを検討します。例えば、家族向けのサービスを提供する場合は、子育て世代が多く住む地域が適しているかもしれません。
昼間人口と世帯年収:
ターゲット顧客がどの程度の時間をその地域で過ごしているか、またその地域の平均世帯年収はターゲット市場と合致しているかを考慮します。例えば、高級サロンを目指す場合は、高収入の家庭が多い地域が適しています。
競合他店との差別化:
選定する地域内で競合他店とどのように差別化できるか、または特定のニーズを満たすサービスを提供できるかどうかを検討します。既に同様のサービスを提供する店舗が多数存在する場合は、別の地域を検討するか、独自のサービスを考える必要があります。
アクセスの便利さ:
顧客が容易にアクセスできるかどうかも重要な要素です。公共交通機関からのアクセスや駐車場の有無など、顧客が利用しやすい立地条件を選ぶことが大切です。
これらのポイントを踏まえ、美容室の立地を選定する際には、ターゲット市場のニーズに最も合致した場所を選ぶことが、事業成功の鍵となります。
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