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「美容室を経営しているけれど、利益率をもっと高くしたい」
「美容室を開業するにあたって、経費や人件費の比率はどのくらいが理想なのだろうか」
美容室経営のみならず、経営において利益率を高めることは非常に重要です。利益率が1%違うだけでも、手元に残るキャッシュやオーナーの年収は大きく異なります。
本記事では美容室を経営するうえで把握しておくべき利益率を公開します。さらに、経費や人件費の目安、利益率を高める方法なども紹介するので、ぜひ参考にしてください。
利益率という言葉には、3つの種類があります。
粗利益率とは売上高から「売上原価」を引いた金額を売上高で割ったものです。美容室の売上原価とは、主に材料費のことを指します。
<計算式>「売上高-売上原価」÷売上高×100
例えば売上高が1,000万円、売上原価が200万円だった場合、粗利益率は以下のとおりです。
「1,000万円 – 200万円」÷1,000万円×100 = 80%
粗利益率が高いほど、商品やサービスの利益率は高くなります。
美容室の粗利益率は家賃や人件費を含まずに計算することが一般的です。
ただし、家賃や人件費を引かなければ実際の利益率を正確に割り出すことはできません。粗利益率だけでなく、次項で解説する「営業利益率」や「経常利益率」なども分析しましょう。
営業利益率とは、営業活動によって得られた利益を売上高に対して割った割合のことです。つまり、「営業利益が売上高の何%に相当するか」を示します。営業利益とは、売上高から売上原価を引き、さらに家賃や人件費、光熱費、通信費などの経費を引いた数値です。
<計算式>営業利益÷売上×100
営業利益率は、営業活動がどれだけ効率的におこなわれているかを測るために用いられます。営業利益率が高ければ高いほど、収益性も高いとわかります。
経常利益率とは、営業利益と営業外収益を足し、売上高に対して割った割合のことです。営業外収益とは、美容室の経営で発生する収益でないもの(セミナーの開催や講師など)を指します。
<計算式>経常利益÷売上×100=経常利益率
美容室の経費には、大きくわけて2つの種類があります。
固定費 | 変動費 |
家賃 人件費 通信費 広告費 水道光熱費など |
材料費 その他の経費 |
ここではそれぞれの経費を詳しく解説します。
固定費とは売上に関わらず、固定的にかかる費用のことを指します。利益率を大きく左右するため、美容室の経営を安定させるうえで非常に重要です。
最も基本的な経費の1つが家賃です。家賃は基本的に、地域によって異なります。
主な坪単価は以下のとおりです。
※2023年02月28日時点
※参考:三幸エステート|市況データ
この金額よりも高い場合、平均より固定費がかかってしまっていることになるでしょう。
家賃は売上の7〜13%が理想的とされていますが、近年は賃料が上昇しており13〜15%程度になっていることも珍しくありません。家賃は一度契約すると下げることが難しいため、開業の段階でよく検討することをおすすめします。
関連記事:
美容室の開業資金はどれくらい?手続きや必要資金の目安を解説
人件費とは、スタイリストやアシスタントの雇用にかかる費用を指します。特にスタイリストは売上を作る存在であるため、美容室の経営にとって欠かせません。
人件費は家賃に比べると削減しやすいといえますが、スタッフを強引に辞めさせることはできません。また、人件費を少なくしすぎるとスタッフのモチベーションが下がったり離職率が高まったりしてしまう点に注意してください。
関連記事:
スタッフがすぐ辞める美容室の特徴10選!対処法や成功事例紹介
通信費とは、電話やインターネットなど通信に必要な費用のことです。特に最近ではオンライン予約システムやSNSなどの活用が一般化しており、美容室にとってインターネット環境の重要性は高まっています。
通信費の相場は3〜5%程度です。
美容室にとって広告費は固定費として計上されることも珍しくありません。美容室を経営するうえで広告は欠かせないものだからです。
広告を出す目的は主に次の2つです。
単に集客するだけでなく、美容室の認知を拡大させて信頼性を高めるという側面もあります。特に美容室は「コンビニより多い」といわれることも少なくないため、「いかに信頼感を感じてもらい、選んでもらえるか」が非常に重要です。
平均的な割合としては、売上の5%前後です。
水や電気などの水道光熱費も毎月必ず発生します。割合としては売上の2〜3%程度ですが、毎月必ず支払わなければならないため、常に節約する意識を持ちましょう。
例えば、電気料金はプランを変更することで今よりも安くなる可能性があります。1,000円程度しか安くならない場合でも、年間で見ると12,000円の節約になります。
変動費とは、売上の増減によって金額が変わる経費のことです。
美容室における材料費とは、カラーやパーマ、シャンプー、コンディショナーなどにかかる費用のことです。一般的には15%前後が相場とされています。
材料費を節約するために、仕入先の選定や割引の活用、在庫管理の徹底などが挙げられます。しかし、材料の質はカラーやパーマのクオリティを左右することにつながるため、適切なものを選ぶことが大切です。
美容室には、材料費や広告費以外にもさまざまな変動費があります。
これらの費用は提供するサービスの種類や美容院の規模によって異なるため、経営に合わせた管理が求められます。相場は売上の5%です。
美容室の経営では、目安となる利益率と経費をきちんと把握しておくことが大切です。ここではそれぞれの目安を具体的に解説します。
利益率の目安として確認するべきなのが以下の2つです。
営業利益率の目安は3〜4%とされています。
経済産業省の「企業活動基本調査」によると、主要産業における営業利益率の平均値は3.2%であるため、「ほぼ平均的な利益率」といえるでしょう。
売上1,000万円ごとの営業利益は以下のとおりです。
売上高(万円) | 営業利益(3%)(万円) | 営業利益(4%)(万円) |
1,000 | 30 | 40 |
2,000 | 60 | 80 |
3,000 | 90 | 120 |
4,000 | 120 | 160 |
5,000 | 150 | 200 |
ただ、美容室の中には営業利益が10%を超えるところもあります。例えば当社の「マイスタ®サロン」の場合、営業利益は15%超です。
「マイスタ®サロン」の営業利益が高い秘密はこちらをご覧ください。
関連記事:
美容室のフランチャイズ経営は儲かる?オーナーの年収ってどれぐらい?
店販の利益率は5〜8%で、10%が理想です。
株式会社リクルートホットペッパービューティーアカデミーの調査によると、美容室の店販購入総額は年々増加しています。
出典:株式会社リクルートホットペッパービューティーアカデミー
売上の増加を目指す場合、カットやカラーなどの基本的なサービスだけでなく店販に力を入れるのもおすすめです。
経費の目安は以下のとおりです。
経費 | 一般美容室 |
材料原価 | 15%前後 |
人件費 (交通費・法定福利費含む) |
50% (※6名体制) |
広告宣伝費 | 5%前後 |
家賃 | 15% |
減価償却費 | 4%以下 |
水道光熱費・通信費 | 3% |
その他 | 5% |
営業利益 | 3% |
このように固定費である人件費や家賃だけで半分以上を占めることも珍しくありません。
美容室の利益率を高くするには、主に6つの方法があります。
固定費は毎月一定額かかるため、利益率を押し下げる大きな原因となります。同時に、節約しづらい部分でもあります。
固定費を削減するには「何にどれだけお金がかかっているか」を洗い出しましょう。例えば、次のような固定費が挙げられます。
洗い出したうえで「見直すことができるかどうか」を判断してください。家賃を下げることはできなくても、余計なサブスクを解約するなどで固定費を抑えられるでしょう。
まずは変動費(材料費)を見直してみましょう。材料費を見直すことで、粗利益が高くなります。
材料費を見直す方法はいくつかあります。
ここで大切なことが「品質やサービスに影響を与えないようにする」という点です。材料費を抑えても、クオリティが下がってしまうと売上の低下を招きかねません。
また、材料費を見直すだけでなく、顧客のニーズに合わせたサービスを提供することも大切です。顧客満足度が高くなるとリピーター客を増やすことができ、美容室の利益率改善にもつながります。
客単価を上げる方法はいくつかあります。
参考までに、株式会社リクルートのホットペッパービューティーアカデミーによると、2022年の「1回あたりの利用金額とカラー利用率」は7,345円です。
画像出典:美容センサス
つまり、客単価が7,345円以下だと「平均より低い」といえるでしょう。
リピーターを増やすことは利益率向上にとって非常に重要です。リピーターが増えれば、広告費に経費を使って新規顧客の獲得に力を入れる必要がなくなります。
リピート率の業界平均は以下のとおりです。
まずはこの割合を目指しましょう。リピート率を高める詳しい方法はこちらで解説しています。
関連記事:
美容室をリピートしない理由5選!リピート率平均を改善するための施策や成功事例も解説
美容室の利益率を高めるためには、マーケティングの見直しも重要です。ターゲットとなるお客様を明確にし、その層に合ったサービスやプロモーションを行うことがおすすめです。
マーケティングにはさまざまな種類があります。
オフラインのマーケティング戦略 | オンラインのマーケティング戦略 |
外観・看板 チラシ・ポスティング 紹介 DM(ダイレクトメール) 駅広告・フリーペーパー広告 |
大手美容室予約サイト ブログ・ホームページ 地域情報サイトへの掲載 SNS(インスタ、ツイッター、LINE) Googleビジネスプロフィール WEB広告 |
例えば、大手美容室予約サイトは毎月掲載料を支払わなければならないことが多いです。たくさんの新規顧客を獲得できる可能性がある一方、費用が大きくなりかねません。
関連記事:
美容室経営を成功させるポイントとは?勉強内容や準備方法も解説
美容室の利益率を高めるためには、まず「何にどれくらいかかっているか」を把握しましょう。そのうえで、自店舗にはどのような方法ができているか、削減できる費用はないかなどを考えることが大切です。
ただ、美容室の利益率改善には限界があります。限界に達した場合、新規店舗の出店などに挑戦することをおすすめします。このような場合、業務提携やフランチャイズを選択肢に入れたり、サロンづくりの仕組みやノウハウなどの知識と経験豊富なパートナーに相談してみることも大切です。
「マイスタ®サロン」はサロン経営のお悩みを解決するパートナーシップ制度です。
集客や人材の問題で悩む”関西の美容サロン様”に女性美容師が働きやすいサロンづくりの仕組みやノウハウを共有し、サロン経営のサポートをいたします。
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